塗装の準備。

 

シェラックをアルコールに浸して塗料を作っている間、木工の最終仕上げをします。

Duel Finish - 1

 

ライトを巧く使って影を見ながらアーチを整えていきます。仕上げの方法は製作家の好みです。紙やすりを使って磨く人もいますが、僕はスクレーパーで削ってそのまま終了です(笑)。

Duel Finish - 2

 

生まれて初めて木工を見たのは、五歳の時。確か、宮大工って人間が住む家を建ててはいけなかったと思うのですが、叔父さんが最後の仕事として実家を建ててくれていました。その頃の僕はクレヨンでどこにでも落書きしてて、まぁ、落書きブームの真っ最中でして。

今でも鮮明に覚えているのですが、叔父さんは家の枠組みか何かを組んでて、上に登って二階の部分を組んでて。地面には製材された木材が置いてあったのですが、その木材にこっそり落書きするのが日課になってました。僕が落書きしているのを見つけると、叔父さんが上から怒鳴りながら降りてきて、僕はBダッシュで逃げる、という。

ある日のことです。落書きに夢中になってて叔父さんが降りてきているのに気がつかなくて。人の気配がして顔を上げると僕の目の前に立っているんです。ヤバい、シバかれる、と思ったのですが、叔父さんは四角い箱みたいなモノをその木材の上に乗せて、スーッ、、、とゆっくり静かに引いたんです。カンナをかけたんですね。

その落書きカンナ屑を僕に渡して、怒るワケでもなく、頭をポカッ!とするワケでもなく、無言で二階の枠組みへと戻って行ったのです。僕の手には落書きカンナ屑、目の前の木材は真っ白でピカピカしていました。

この日から二度と落書きしなくなりました。

叔父さんは無言で上に戻って行ったし、怒られたワケでもないのですが、目の前のピカピカしている木の美しさに見惚れたと言いますか、とてもここへ落書きしようとは五歳の僕でも思えませんでした。

僕の場合、木工のイメージ、というのがこの出来事で。よく砥いである道具で削って、それで終了、という感じ。ですのでそれをギター製作でやっています。

 

 

塗装の準備が整ったようです。Duel Finish - 1 (3)